NIGHT TOKYO·第 9 場面 / 全 10·おわり

第9場面/ 全10場面

最後の場面です

全10場面のうち第9場面。最後の場面です

第1場面 / 全10場面

改札のシャッターが重い音を立てて閉まり、街から電車の音が消えました。冷たい小雨が降る雑居ビルの軒下、雨宿りに駆け込んだあなたの隣には、同じように終電を逃したもう一人が立っています。湿ったアスファルトの匂いの中、始発までの長い沈黙が始まります。

軒下へ駆け込むと、先に雨宿りをしていた女が缶コーヒーを差し出した。 瀬尾 灯:「終電、逃しました?」 有村 冬馬:「逃したんじゃなくて、乗らなかったんです」 瀬尾 灯:「奇遇ですね。私も」

冬馬は温かい缶を押し戻すように差し出し、灯はそれを見つめた。冬馬:「これ、受け取れないよ。……俺、今日で仕事辞めてきたんだ。全部投げ出して」灯:「だからって、冷えた身体を温めちゃいけない理由にはならないでしょ」

冬馬は閉まりかけた路地の店に声をかけようと足を踏み出す。有村 冬馬:「朝までいさせてくれって頼んでみる」瀬尾 灯:「無駄だよ。ここらはとっくに看板下げてる」有村 冬馬:「それでも、どこか暖を取れる場所を探さないと」

濡れたアスファルトに遠いサイレンが響く中、灯が静かに息を吐いた。瀬尾 灯:「私、明日結婚するはずだったんだよね」有村 冬馬:「……え?」瀬尾 灯:「逃げてきたの、全部置いて」

雨音だけが路地に響く。有村 冬馬:「明日、式なのに……こんなところで何してるんですか」瀬尾 灯:「逃げてきたんです、全部置いて。……最低ですよね」有村 冬馬:「俺も全部放り出してきたんで、同類ですよ」

灯のバッグの中で携帯電話が震え、暗闇に着信ランプが点滅した。灯:「……出たら、もう戻るしかない」冬馬:「出なくていい。朝までは、俺たちの時間だ」

冬馬は灯の肩を掴み、小雨に煙る路地の奥へと歩き出す。冬馬:「鳴らしとけ。朝まで付き合うって決めたろ」灯:「……うん。どこへでも連れてって」

冬馬は灯の肩を抱き寄せ、薄暗い雑居ビルの非常階段の陰へと滑り込んだ。有村 冬馬:「ここまで来れば、誰も追ってこない」瀬尾 灯:「……心臓、すごく鳴ってる。冬馬さんの」有村 冬馬:「お互い様だろ」

話し合って決めたこと

灯の手を引いて階段の奥へ逃げ込み、二人で朝の光を迎えて新たな一歩を踏み出した。

非常階段の踊り場に座り込み、薄く白む空を見上げる。有村 冬馬:「もう、朝が来るな」瀬尾 灯:「ええ。でも、もう逃げないわ。あなたの手があったから」有村 冬馬:「俺もだ。行こう」

前の場面では —— 灯の手を引いて階段の奥へ逃げ込み、二人で朝の光を迎えて新たな一歩を踏み出した。

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14 場面/76 秒 ・ 音声つき

  • 有村 冬馬話している

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有村 冬馬

瀬尾 灯の手を引いてさらに奥へ逃げ込む

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